はらっぱ 小話
ブログで書き散らした小話やワンライのログなど。 夢っぽかったり日常的ぽかったり。
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インパ
昨日、甲子園の初戦を快勝したオレたちは、監督の計らいでUSJに遊びに行けることになった。たまたま今日の練習場所が舞洲ベースボールスタジアムだったからだ。行きのバスで目ざとくUSJが近いということに気づいた、エース様が騒いでくれたおかげだ。
「去年は誰かさんのせいで行けなかったからな」
言わなくてもいいのにボソリと白河がつぶやいた。去年は敗退後に行く予定になっていたのだ。けれど、鳴のあまりの落ち込み具合に1、2年は自粛した。3年だけが思い出づくりに行ったのだった。
いくら鳴が騒いだとはいえ、本当に今日のうちに行かせてもらえるとは思っていなかった。けれど、2回戦まで間があり、偶然にも練習場が舞洲だったということが監督の気持ちを後押ししたのかもしれない。もちろん去年の二の舞も避けたい気持ちもあっただろう。
「おー! あれがUSJ!」
嫌味を言われたはずの本人は意に介せずバスの窓にぴたりと顔をよせた。鳴は良くも悪くもすべてにおいてこのチームの中心なのだ。
バスが駐車場に止まると、我先にと降りていく。もちろん、オレもだ。降りると鳴がキラキラと目を輝かしていた。
「カルロ、血が騒ぐ? 脱ぐ?」
「なんでだよ」
鳴はオレを見てにやっと笑った。全然意味わかんねぇ。とりあえず、鳴が上機嫌だということだけはわかった。昨日の試合で交代させられたことを、ついさっきの練習中もぶちぶちと不満をたれていたくせに。
先にチケットを購入しに行っていた林田部長と合流すると、パークの入口で注意事項を聞かされる。すでに誰もが注意事項は上の空だ。ジェットコースターが近くを通ると聞こえてくるキャーという声に気がはやる。
とりあえず、稲実野球部だということを忘れずに節度を持てというようなことを林田部長が言う。まぁ、羽目をはずすには、まだ大会中だし、制服姿だしと足枷が多い。だいたい、オレらは野球に明け暮れている男ばっかだ。遊び慣れてないだけに、どう羽目をはずしたらいいのかわからないところもある。逆に遊びなれていないがゆえに変な羽目のはずし方をしないようにと心配しているのかもしれない。
大きな地球儀の前でみんなで写真を撮る。ぶわーっと出てくるミストに全員のテンションが上がった。
「よーし、行くよ!」
「あ、おい待てよ」
何も考えずに鳴はスタスタと先に進む。いつもそうだ。行先とかこれからどう動くとか一切考えずに思うがままに動き出すところがある。そういう時、鳴は突き当りまでまっすぐに進む。結局後ろからオレたちがいつもフォローするはめになる。坊やだとあきらめているが、こういう場所では犬につけるハーネスを鳴につけてやりたくなる。
「カルロス! 成宮を頼むぞ!」
後ろから林田部長の声がした。だったら部費でハーネス買ってくれ! ウキウキと先に行く鳴を追いながら、心の中で叫んだ。
----------------------
2011年の優勝校が1回戦の後にインパしてるので、この設定アリですよね(笑)
あと舞洲もほんとに練習場として使われてます。
「去年は誰かさんのせいで行けなかったからな」
言わなくてもいいのにボソリと白河がつぶやいた。去年は敗退後に行く予定になっていたのだ。けれど、鳴のあまりの落ち込み具合に1、2年は自粛した。3年だけが思い出づくりに行ったのだった。
いくら鳴が騒いだとはいえ、本当に今日のうちに行かせてもらえるとは思っていなかった。けれど、2回戦まで間があり、偶然にも練習場が舞洲だったということが監督の気持ちを後押ししたのかもしれない。もちろん去年の二の舞も避けたい気持ちもあっただろう。
「おー! あれがUSJ!」
嫌味を言われたはずの本人は意に介せずバスの窓にぴたりと顔をよせた。鳴は良くも悪くもすべてにおいてこのチームの中心なのだ。
バスが駐車場に止まると、我先にと降りていく。もちろん、オレもだ。降りると鳴がキラキラと目を輝かしていた。
「カルロ、血が騒ぐ? 脱ぐ?」
「なんでだよ」
鳴はオレを見てにやっと笑った。全然意味わかんねぇ。とりあえず、鳴が上機嫌だということだけはわかった。昨日の試合で交代させられたことを、ついさっきの練習中もぶちぶちと不満をたれていたくせに。
先にチケットを購入しに行っていた林田部長と合流すると、パークの入口で注意事項を聞かされる。すでに誰もが注意事項は上の空だ。ジェットコースターが近くを通ると聞こえてくるキャーという声に気がはやる。
とりあえず、稲実野球部だということを忘れずに節度を持てというようなことを林田部長が言う。まぁ、羽目をはずすには、まだ大会中だし、制服姿だしと足枷が多い。だいたい、オレらは野球に明け暮れている男ばっかだ。遊び慣れてないだけに、どう羽目をはずしたらいいのかわからないところもある。逆に遊びなれていないがゆえに変な羽目のはずし方をしないようにと心配しているのかもしれない。
大きな地球儀の前でみんなで写真を撮る。ぶわーっと出てくるミストに全員のテンションが上がった。
「よーし、行くよ!」
「あ、おい待てよ」
何も考えずに鳴はスタスタと先に進む。いつもそうだ。行先とかこれからどう動くとか一切考えずに思うがままに動き出すところがある。そういう時、鳴は突き当りまでまっすぐに進む。結局後ろからオレたちがいつもフォローするはめになる。坊やだとあきらめているが、こういう場所では犬につけるハーネスを鳴につけてやりたくなる。
「カルロス! 成宮を頼むぞ!」
後ろから林田部長の声がした。だったら部費でハーネス買ってくれ! ウキウキと先に行く鳴を追いながら、心の中で叫んだ。
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2011年の優勝校が1回戦の後にインパしてるので、この設定アリですよね(笑)
あと舞洲もほんとに練習場として使われてます。
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