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はらっぱ 小話

ブログで書き散らした小話やワンライのログなど。 夢っぽかったり日常的ぽかったり。

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白州くん*体育祭

一番だったのにバトンミスした私はクラスを最下位にしてしまった。ひどく悔しくて恥ずかしくて涙をこらえて、クラスの応援席の後ろでうずくまっていた。

じゃりっと音がして、誰かが近くに来たことに気づく。みんな私の落胆ぶりに遠慮がちに遠巻きに見守ってくれている中、すぐそばまで来る子がいるなんてちょっと意外だった。

ちらりと目線だけ動かせば、大きなスニーカーが目に入る。男子だ。誰だろう。気にならないわけじゃないけど、顔を上げる勇気はない。彼がひざに手を当てて、かがんだのが目の前の影でわかった。でもそのシルエットでは誰かわからない。

「大丈夫」

頭上から、静かで、穏やかな声。

「取り返すから」

ゆっくりと、でも、しっかりとした口調で。

ほんの少しの熱と重みが私の頭に乗せられる。ポンと叩いたというには長くて、なでたというには短い。たったそれだけのことなのに、その仕草は私の中のぐちゃぐちゃとした思いをとても軽くして、すっと流してくれた。

「任せとけ」

力強い言葉のわりには気負いとは無縁の口調で、その言葉の瞬間に白州くんだとわかった。顔をあげると目が合った。涼しい目元は感情が読みにくい。どうしてそんなやさしい言葉を私にかけくれるの。何も言えずにただただ白州くんを見ていた。

スピーカーが2年男子のスウェーデンリレーの出場選手の集合を促す。白州くんはその放送に顔を空にむけると、ゆっくりと歩き出した。その背中はとても頼もしくて、ドキドキと弾むように高鳴る胸は、リレーで勝つだろうという期待だけじゃないような気がする。

白州くんが見上げた空を私も同じように見上げた。突き抜けるような青空はきっと、明日の私の心につながっている。




白州くんは400mとか得意そう。
倉持くんが100でトップ。御幸は気を抜いちゃってバトン渡すときに2位。ゾノで4位転落も白州くんごぼう抜きで1位。みたいなスウェーデンリレーがみたい。
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